肝硬変が進行し、腹水によるお腹の張りや、全身のだるさが強くなると、定期的な通院さえも大きな負担になってきます。「家で少しでも楽に過ごしたい」「通院の待ち時間が辛い」と感じることは、決してわがままではありません。私たち在宅医療のチームは、患者様ご本人とご家族が抱えるその辛さに寄り添い、住み慣れた自宅で安心して療養生活を送れるようサポートいたします。訪問診療によって、心身の負担を減らし、穏やかな時間を守ることが私たちの使命です。

訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。

疾患と訪問診療の対象

肝硬変・腹水管理とは

肝硬変とは、慢性的な炎症によって肝臓が硬くなり、本来の機能が失われていく状態です。進行すると、腹水（お腹に水が溜まる）や黄疸、意識障害などが現れます。

初期は通院治療が可能ですが、病状が進行し腹水が増加すると、呼吸が苦しくなったり、動くことが困難になったりします。このように病状が不安定で、通院による体力的な消耗が激しい場合や、細やかな症状コントロールが必要な段階では、訪問診療への切り替えが有効な選択肢となります。

訪問診療の対象となる方

主に以下のような状況にある患者様が対象となります。

• 腹水による腹部膨満感が強く、歩行や通院が困難な方
• 利尿剤の調整や電解質管理など、頻繁な医療処置・経過観察が必要な方
• 肝性脳症による意識レベルの変動があり、ご家族による通院介助が難しい方
• 最期まで自宅で自分らしく過ごしたいと希望されている方（在宅での看取り）

当院の訪問診療サポート

在宅で直面する具体的な不安

肝硬変の患者様やご家族は、自宅療養において以下のような不安や困り事を抱えがちです。

• 腹水による苦痛： お腹がパンパンに張り、息苦しさや食欲不振が続く。
• 急な意識の変化： 肝性脳症により、急に性格が変わったり、呼びかけに反応しなくなったりする。
• 出血への恐怖： 食道静脈瘤などの破裂による吐血や下血が心配。
• 全身の倦怠感： 強いだるさで日常生活動作（トイレや入浴など）がままならない。
• 食事・水分の管理： 塩分制限や水分量の調整が難しく、何を食べて良いかわからない。

当院が提供できる専門的な治療・ケア

当院では、上記のような不安を解消し、自宅でも病院と変わらない安心感を得られるよう、以下の医療を提供します。

• 内服薬・点滴による腹水コントロール： 利尿剤の細やかな調整や、必要に応じたアルブミン製剤等の点滴管理を行い、腹水の貯留を抑え苦痛を緩和します。
• 肝性脳症の管理： 便通コントロールや内服薬の調整を行い、意識障害の予防と早期対応に努めます。
• 全身状態の観察と緩和ケア： 痛みや苦しさを取り除くための投薬や処置を行い、生活の質（QOL）を維持します。
• 栄養指導： 患者様の好みを尊重しつつ、病状に合わせた食事や水分摂取のアドバイスを行います。

また、当院は24時間365日の緊急往診体制を整えています。夜間や休日に急な体調変化があった場合でも、いつでも医師や看護師と連絡が取れ、必要に応じて駆けつける体制があるので安心です。

在宅療養を始めるためのサポート体制

在宅療養は、医師だけで支えるものではありません。地域の病院や基幹病院と連携し、緊急時のバックアップ体制を確保しています。

また、日々の生活を支えるケアマネジャーや訪問看護師とも密に情報を共有します。特に、介護保険サービスの一つである「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師が専門的な視点から療養上の指導や助言を行い、ケアプランに反映させることが可能です。医療と介護が一体となって、患者様とご家族の生活をチームで支えます。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

外来でのご相談をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。

• 予約・受付： お待たせしないよう、お電話等で事前にご予約の上、ご来院ください。
• 問診・相談： 現在の病状、通院に関するお悩み、ご家族の介護状況などをお伺いします。
• 方針検討： 訪問診療に移行した場合の具体的なメリット・デメリットをご説明し、患者様にとって最適な治療方針を医師と一緒に検討します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。

• お問い合わせ： お電話またはHPの問い合わせフォームよりご連絡ください。
• 事前面談・相談： 相談員（または医師・看護師）が、現在の病状やご家族の状況、ご要望を詳しく伺います。
• 診療開始： 契約手続き完了後、初回訪問の日程を調整し、定期的な訪問診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

肝硬変・腹水管理による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください

肝硬変による腹水の苦しさや、先行きの見えない不安を抱えながら、無理をして通院を続ける必要はありません。私たちは、患者様が「家」という一番落ち着く場所で、痛みや苦しみを少しでも和らげて過ごせるよう全力を尽くします。

「まだ訪問診療をお願いするほどではないかも」と迷われている段階でも構いません。まずは一度、私たちにご相談ください。患者様とご家族にとって最善の療養環境を一緒に考えましょう。