悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、治療期間が長期にわたることが多く、再発や治療の副作用に対する不安を常に抱えながら生活されている患者様が少なくありません。抗がん剤治療の合間の自宅療養中、急な発熱や体調変化に「すぐに相談できる医師がいない」という状況は、患者様ご本人だけでなく、支えるご家族にとっても大きな心労となります。
当院の訪問診療(在宅医療)は、そうした不安を解消し、住み慣れたご自宅で安心して治療を継続できるようサポートいたします。通院が体力的に厳しくなってきた方や、退院後の生活に不安がある方へ、医師が定期的に訪問し、きめ細やかな医学管理を行います。
訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。まずは、現在の状況をお聞かせください。
疾患と訪問診療の対象
悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化する血液の病気です。首や脇の下などのリンパ節が腫れるほか、発熱、寝汗、体重減少などの全身症状が現れることがあります。
病型によって進行速度や治療法は異なりますが、薬物療法(抗がん剤や分子標的薬)が治療の中心となるケースが多くあります。
訪問診療の視点で重要となるのは、治療に伴う「免疫力の低下」や「全身状態の変化」への対応です。治療が長期化すると、副作用による倦怠感や吐き気、感染症のリスクなどで、外来通院そのものが患者様の体に大きな負担となる場合があります。また、積極的な治療が困難になった段階においても、苦痛を和らげ、その人らしく過ごすための緩和ケアが自宅で必要となるケースが増えています。
訪問診療の対象となる方
当院では、以下のような状況にある悪性リンパ腫の患者様を対象に訪問診療を行っています。
- 抗がん剤治療などの副作用が強く、外来通院がつらい、または通院が困難な方
- 免疫力が低下しており、通院による感染症リスクを避けたい方
- 高齢や身体機能の低下により、家族の介助なしでは通院が難しい方
- 積極的な治療を終了し、最期まで自宅で穏やかに過ごしたいと希望される方(在宅看取り)
- 経過観察の方針となったが、急変時の対応に不安がある方
当院の訪問診療サポート
在宅で直面する具体的な不安
悪性リンパ腫の患者様やご家族が、在宅療養において直面しやすい不安や困りごとは多岐にわたります。
- 感染症への恐怖:治療により白血球が減少している時期は、わずかな細菌やウイルスでも重篤な感染症(発熱性好中球減少症など)を引き起こす可能性があり、自宅での管理に神経を使います。
- 副作用の苦痛:強い倦怠感、吐き気、口内炎、食欲不振などが続き、自宅でどのように対処すればよいか分からず途方に暮れてしまうことがあります。
- 痛みのコントロール:腫瘍の増大や浸潤に伴う痛みが出た場合、内服薬だけでコントロールできるのか、夜間に痛みが強くなったらどうすればよいのかという不安があります。
- 急変時の対応:夜間や休日に高熱が出たり、呼吸が苦しくなったりした場合の連絡先や対処法が確立されていないことへの恐怖があります。
- 家族の介護負担:長期間の療養生活において、食事の準備や身の回りの世話など、ご家族にかかる身体的・精神的な負担が蓄積していきます。
当院が提供できる専門的な治療・ケア
当院では、悪性リンパ腫特有の症状や経過を熟知した医師とスタッフが、在宅での療養生活を包括的にサポートします。
- 感染症対策と迅速な対応:血液検査等で全身状態を定期的に把握します。発熱時には速やかに往診し、必要に応じて抗生剤の点滴投与などを行い、重症化の予防に努めます。
- 副作用および症状の緩和:吐き気止めや整腸剤の調整、点滴による水分・栄養補給を行い、副作用による苦痛を最小限に抑えます。また、口腔ケアの指導も行い、QOL(生活の質)の維持を図ります。
- 専門的な疼痛管理(緩和ケア):医療用麻薬を含む鎮痛薬の調整をきめ細かく行います。内服が困難な場合は、貼付剤や皮下注射(持続注入ポンプ)への切り替えなど、ご自宅でも病院と変わらない疼痛管理が可能です。
- 24時間365日の緊急往診体制:「夜中に熱が上がった」「痛みが急に強くなった」といった緊急時には、24時間365日いつでも医師や看護師と連絡が取れる体制を整えています。必要に応じて深夜・早朝でも緊急往診を行いますので、安心してご自宅でお過ごしいただけます。
- 基幹病院との連携:化学療法を行っている基幹病院と情報を共有し、治療方針に沿った在宅管理を行います。輸血が必要な場合など、在宅での対応が困難な処置が必要な際は、速やかに病院へ紹介・連携いたします。
在宅療養を始めるためのサポート体制
当院では、患者様が安心して在宅医療を受けられるよう、多職種との連携を重視しています。治療を行っている基幹病院の主治医とは、診療情報提供書を通じて密に連携を取り、治療経過や服薬内容を共有します。これにより、病院での治療方針と在宅でのケアに一貫性を持たせることができます。
また、ケアマネジャー(介護支援専門員)や訪問看護ステーションとも密接に協力体制を築いています。日々の身体介護や入浴介助、リハビリテーションなどは、介護保険サービス(居宅療養管理指導など)を組み合わせることで、医療と介護が一体となった支援を提供します。ご家族だけで抱え込まず、社会資源を有効に活用しながら、持続可能な療養環境を整えるお手伝いをいたします。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
「まずは医師と直接話して相談したい」という方は、外来でのご相談をご利用ください。
- ご予約:お電話またはWebフォームより「外来相談」のご予約をお願いいたします。
- 外来受診・ご相談:医師が患者様・ご家族様の状況をお伺いし、訪問診療の仕組みや当院で可能な対応についてご説明します。
- 方針の検討:ご相談内容を踏まえ、訪問診療へ移行するか、外来通院を継続するかなど、今後の治療方針を一緒に検討いたします。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
- お問い合わせ:お電話またはホームページのお問い合わせフォームよりご連絡ください。現在の病状やご希望をお伺いします。
- 事前面談:相談員(ソーシャルワーカー)または看護師が、ご自宅または病院へ伺い(あるいは来院いただき)、患者様の状態や生活環境を確認させていただきます。費用や仕組みについても詳しくご説明します。
- 訪問診療の開始:初回訪問の日程を調整し、医師と看護師がご自宅へ伺い、診療を開始します。
悪性リンパ腫による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください
悪性リンパ腫は、治療の段階や体調によって、必要となる医療的サポートが変化する疾患です。「通院が辛くなってきたけれど、治療は諦めたくない」「自宅で家族と過ごす時間を大切にしたい」という想いを、私たちにお聞かせください。
当院は、患者様が住み慣れた場所で、安心して自分らしい時間を過ごせるよう、全力でサポートいたします。ご相談だけでも構いません。まずは一度、お問い合わせください。

