勉強や作業に集中できない/忘れ物が多い
日々の生活や仕事、学業において「どうしても集中が続かない」「大切な約束や物を忘れてしまう」といったお悩みはありませんか?ご本人も辛い思いをされていますが、それを見守るご家族にとっても、どう対応すればよいか分からず、大きな不安やストレスを抱えていらっしゃることと思います。
「性格の問題だ」「やる気がないだけだ」と自分を責めてしまったり、周囲から誤解されたりすることで、二次的な心の不調をきたしてしまうことも少なくありません。もし、こうした症状によって外出や通院が難しくなっている場合や、社会生活に著しい支障が出ている場合は、適切な医療サポートが必要です。
当院では、訪問診療という形でのサポートを行っています。ご自宅という安心できる環境で、医師がじっくりとお話を伺います。訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。お一人で抱え込まず、まずは私たちにお声がけください。
訪問診療を検討すべき主な症状・状態
「集中できない」「忘れっぽい」という症状の背景には、さまざまな疾患や特性が隠れていることがあります。特に以下のような状態が続き、通常の通院が困難な場合や、生活が立ち行かなくなっている場合は、訪問診療の導入を検討する段階かもしれません。
- 日常生活の管理が困難: 部屋の片付けが全くできない、金銭管理ができない、公共料金の支払いを忘れるなど、生活基盤が崩れている。
- 外出への強い抵抗感: ミスが続くことで自信を喪失し、人目が怖くて外に出られない、引きこもり状態になっている。
- 二次障害の併発: うつ状態や強い不安感があり、ベッドから起き上がれない、身支度が整えられない。
- 服薬管理ができない: 処方された薬を飲み忘れる、または過剰に飲んでしまうなどの管理ができず、症状が安定しない。
- 衝動的な行動: 思いつきで行動してトラブルになることが多く、家族だけでは見守りきれない。
これらの症状は、ご本人の努力不足ではなく、医学的なアプローチが必要な状態である可能性があります。以下に、関連する疾患と具体的な状態をまとめました。
| 状態の分類 | 具体的な症状・状態 | 関連疾患 |
| 発達特性に関連する状態 | 落ち着きがない、不注意によるミスが多い、衝動的に動いてしまう、対人関係の構築が苦手、こだわりが強く切り替えができない | 注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、チック障害/トゥレット症候群 |
| 精神的な不調・不安 | 気分の落ち込み、意欲の低下、将来への過度な不安、パニック発作、社会的な場面での強い緊張 | うつ病、適応障害、不安障害/パニック障害、社交不安障害、双極性障害、統合失調症 |
| 思春期・若年者の課題 | 朝起きられない、立ちくらみ、ゲームやネットに没頭して生活リズムが昼夜逆転している、学校や社会生活への不適応 | 起立性調節障害(OD)、ゲーム障害・インターネット依存(依存症)、うつ病(思春期・若年者) |
| 認知機能・脳機能の変化 | 新しいことを覚えられない、日付や場所がわからなくなる、脳梗塞などの発症後に性格や能力が変わった | 認知症(行動・心理症状ふくむ)、脳卒中後遺症(高次脳機能障害など) |
訪問診療で対応可能な医療処置・管理
訪問診療では、ご自宅にいながら専門的な医療ケアを受けることができます。集中力の欠如や不注意といった症状に対しては、単に薬を処方するだけでなく、生活環境全体を見渡した総合的なアプローチを行います。
- 薬物療法の管理・調整: 症状を緩和するための内服薬の処方や、効果・副作用のモニタリングを行います。ご自宅での服薬状況(飲み忘れや飲みすぎがないか)を直接確認できるため、より安全で適切な調整が可能です。
- 環境調整のアドバイス: ご自宅の状況を拝見し、集中を妨げる要因(音や視覚刺激など)を減らす工夫や、忘れ物を防ぐための生活動線の見直しなど、具体的なアドバイスを行います。
- 精神的なサポートと家族ケア: ご本人の悩みを聞き取るカウンセリング的な関わりに加え、対応に苦慮されているご家族への助言やサポートも行います。
自宅で実施可能な基本的な診療・検査
- 問診・診察: 医師が定期的に訪問し、心身の状態変化を丁寧に確認します。
- 血液検査・尿検査: お薬の副作用チェックや、身体的な異常がないかを調べるために実施します。
- バイタルチェック: 血圧や脈拍などを測定し、自律神経の状態などを把握します。
- 処方箋の発行: 症状に合わせたお薬を処方します。
在宅療養を始めるためのサポート体制
在宅療養は、医師だけで支えるものではありません。地域のさまざまな専門職と連携し、チームで患者様とご家族を支える体制を構築します。
当院は、必要に応じて地域の基幹病院や専門医療機関と連携を取り、緊急時やより高度な検査が必要な場合にスムーズに対応できるよう備えています。また、日々の生活を支えるケアマネジャー(介護支援専門員)や、精神科訪問看護ステーションとも密に情報を共有します。
特に、訪問看護師やヘルパーなどの介護・福祉サービスが入ることで、服薬の確認や生活リズムの整え、外出の同行などが可能になり、生活の質が大きく安定します。
ここで重要になるのが、医療と介護の一体的な提供です。介護保険をお持ちの方の場合、医師が居宅療養管理指導を行うことで、ケアマネジャーに対して医学的な見地からケアプラン作成のアドバイスを行うことができます。これにより、症状や特性に合わせた適切な介護サービスが利用できるようになり、ご本人らしく安心して暮らせる基盤が整います。
早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)
「まだ病院に行けるから大丈夫」「もう少し様子を見よう」と迷っている間に、症状が悪化したり、二次的な問題(うつ状態の悪化や家庭内不和など)が生じたりすることがあります。早期に訪問診療を検討することで、多くのメリットが得られます。
1. 二次障害の予防と早期発見
適切な介入が遅れると、自信の喪失から重度のうつ病や引きこもりに発展するリスクがあります。定期的な訪問診療により、心身の小さな変化を早期に捉え、適切な治療を行うことで、状態の悪化や入院が必要になる事態を防ぐことができます。
2. 生活環境に即した実践的な対策
診察室では見えてこない、実際の生活環境(部屋の様子、家族との関わり方など)を医師が直接把握できます。そのため、「机の配置を変える」「メモを貼る位置を工夫する」といった、ご本人の生活に即した具体的で実践的な対策を提案でき、QOL(生活の質)の向上につながります。
3. ご家族の負担軽減と安心感
対応に悩むご家族にとっても、定期的に医師が訪問し相談できることは大きな支えとなります。医学的な根拠に基づいた接し方を知ることで、精神的な負担が軽減され、ご家族自身の生活も守ることにつながります。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。
- 予約・受付: 電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
- 診察・相談: 医師が症状について問診・診察を行います。
- 今後の治療方針検討: 診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。
- お問い合わせ(HPフォーム/電話): 現在の症状についてご相談ください。
- 事前面談(情報共有・病状確認): 訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談(初回訪問)を行います。
- 診療開始: 診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。
勉強や作業に集中できない/忘れ物が多いでお悩みなら、まずご相談ください
「できないこと」ばかりに目が向いてしまい、辛い日々を過ごされていませんか?それはあなたのせいではなく、適切なサポートがあれば改善できる課題かもしれません。
私たちは、患者様がご自宅で安心して自分らしく過ごせるよう、医療の力で全力でサポートいたします。ご本人様、またはご家族様だけで悩まず、まずは一度、当院までご相談ください。その一歩が、より良い生活へのきっかけになります。

