発熱・感染が心配(外出困難)
ご自身やご家族が急な発熱に見舞われた際、「体が思うように動かず病院へ連れて行けない」「免疫力が低下しており、感染症が流行している待合室で待つのが怖い」といった不安を抱えてはいませんか?
特にご高齢の方や基礎疾患をお持ちの方にとって、発熱時の通院は大きな身体的・精神的負担となります。無理をして通院することで症状が悪化してしまうリスクも少なくありません。
当院では、通院が困難な方のために、医師がご自宅へ伺う訪問診療を行っております。
訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。お一人で悩まず、まずは私たちにご相談ください。
訪問診療を検討すべき主な症状・状態
発熱や感染症の疑いがある場合、健康な方であればすぐに受診できますが、以下のような状態にある方は通院自体が困難であり、重症化のリスクも高いため、訪問診療による管理が強く推奨されます。
- 移動が困難な状態: 寝たきり、車椅子利用、または歩行が不安定で、発熱時に自力での移動が著しく困難な場合。
- 誤嚥性肺炎のリスクがある方: 食事中にむせることが多く、発熱を繰り返している場合。
- 易感染状態(免疫力低下): がん治療中やステロイド使用中などで免疫機能が下がっており、人混みや病院での二次感染リスクを極力避けたい場合。
- 認知症や精神疾患による通院拒否: 環境の変化に敏感で、病院へ連れ出すことが困難、または待合室で待つことができない場合。
- 医療処置が必要な方: カテーテルや在宅酸素などを利用しており、移動に伴うトラブルが心配な場合。
以下の表は、訪問診療の対象となり得る主な疾患と状態の分類です。これらの疾患をお持ちで、発熱や感染症への不安がある方はご検討ください。
| 状態の分類 | 具体的な症状・状態 | 関連疾患 |
| 悪性腫瘍(がん)・緩和ケア | 通院が体力的に困難、免疫力低下による感染リスク、自宅での療養・看取りを希望 | 肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝臓・胆道がん、乳がん、前立腺がん、婦人科系がん、血液のがん・脳腫瘍など |
| 呼吸器疾患・感染症リスク | 息切れ、慢性的な咳・痰、在宅酸素療法中、繰り返し発熱する | 誤嚥性肺炎をくり返す、慢性呼吸不全/COPD(肺気腫)、気管支喘息(通院困難な方) |
| 循環器・生活習慣病 | 動悸、息切れ、むくみ、食事・内服管理が必要、通院負担が大きい | 慢性心不全、心房細動など抗凝固療法の在宅管理、高血圧・脂質異常症の在宅管理、糖尿病(内服・インスリン管理)、慢性腎臓病(保存期の在宅管理)、肝硬変・腹水管理 |
| 脳神経疾患・難病 | 麻痺、筋力低下、嚥下障害、移動困難、意思疎通の障害 | 脳卒中後遺症(片麻痺・嚥下障害など)、パーキンソン病/パーキンソン症候群、ALSなど神経難病 |
| 認知症・精神疾患(高齢者) | 物忘れ、徘徊、拒薬、介護抵抗、抑うつ状態、意欲低下 | 認知症(行動・心理症状ふくむ)、うつ病、統合失調症 |
| 医療的ケア・処置管理 | 経管栄養、カテーテル留置、ストーマ管理が必要で通院が困難 | 胃ろう・経管栄養の管理、中心静脈栄養(ポート/IVH)の管理、留置カテーテル・膀胱瘻の管理、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のトラブルケア |
| 精神・発達・心身症(若年層含む) | 外出への強い不安、引きこもり、対人恐怖、集団行動が困難 | 起立性調節障害(OD)、不安障害/パニック障害、社交不安障害、うつ病(思春期・若年者)、適応障害、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、摂食障害(神経性やせ症・過食症)、チック障害/トゥレット症候群、ゲーム障害・インターネット依存(依存症) |
訪問診療で対応可能な医療処置・管理
発熱や感染症が疑われる際、当院の訪問診療では、ご自宅にいながら病院と同等の判断・初期対応を行うことが可能です。患者様の体力を消耗させることなく、迅速な診断と治療につなげます。
- 各種迅速検査: インフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症検査をご自宅で実施します。
- 点滴・投薬治療: 脱水症状に対する補液や、細菌感染に対する抗生物質の点滴・投与を行います。
- 酸素飽和度の管理: 肺炎などによる呼吸状態の悪化を早期に察知し、必要に応じて在宅酸素の手配を行います。
- 解熱・鎮痛: 発熱による苦痛を和らげるための適切な薬剤管理を行います。
自宅で実施可能な基本的な診療・検査
ご自宅では、上記の急性期対応に加え、全身状態を把握するための基本的な診療を定期的に行います。
- バイタルチェック: 血圧、脈拍、体温、酸素飽和度などを測定し、普段の状態を把握します。
- 血液検査・尿検査: 炎症反応や臓器機能(肝臓・腎臓など)、栄養状態、脱水の有無を確認します。
- 薬剤管理: 処方箋の発行だけでなく、飲み忘れや飲み残しの確認、服薬指導を行います。
- 心電図検査: 持ち運び可能な心電図計を使用し、不整脈や虚血性心疾患のチェックを行います。
在宅療養を始めるためのサポート体制
在宅療養は、医師だけで支えるものではありません。地域の様々な専門職がチームとなり、患者様とご家族の生活をサポートします。当院は、地域の基幹病院や連携病院と密に連絡を取り合っており、万が一、入院が必要な重症化が見られた場合には、スムーズに紹介・搬送できる体制を整えています。また、ケアマネジャー(介護支援専門員)や訪問看護ステーションとも密接に連携し、日々の生活状況や体調変化をリアルタイムで共有します。
訪問診療は、医療保険だけでなく、介護保険の「居宅療養管理指導」としても位置づけられます。これは、医師がケアマネジャー等に医学的な観点からケアプランのアドバイスを行ったり、患者様・ご家族へ療養上の指導を行ったりするものです。医療と介護が一体となって提供されることで、より安心で質の高い在宅生活が可能になります。
早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)
1. 早期発見・早期治療による重症化予防
定期的に医師が訪問することで、平熱や普段の呼吸状態を正確に把握できます。これにより、わずかな体調変化や発熱の兆候を早期に発見し、肺炎などの重症化を未然に防ぐことが可能です。早めの対処は、結果として入院のリスクを大幅に減らします。
2. 通院負担の解消と二次感染の防止
通院にかかる移動時間や待ち時間は、体力のない患者様にとって大きなストレスです。訪問診療への切り替えにより、これらの負担がゼロになります。また、病院へ行かないことで、インフルエンザなどの感染症を外部からもらってしまうリスクを回避でき、安心して療養に専念できます。
3. 住み慣れた環境でのQOL(生活の質)向上
病院のベッドではなく、ご自身のベッドや布団で、リラックスして診察を受けられることは精神的な安定につながります。ご家族に見守られながら、自分らしい生活リズムを維持して治療を継続できることが、在宅療養の最大のメリットです。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。
- 予約・受付: 電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
- 診察・相談: 医師が症状について問診・診察を行います。
- 今後の治療方針検討: 診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。
- お問い合わせ(HPフォーム/電話): 現在の症状についてご相談ください。
- 事前面談(情報共有・病状確認): 訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談(初回訪問)を行います。
- 診療開始: 診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。
発熱・感染が心配でお悩みなら、まずご相談ください
「熱が出たらどうしよう」という不安を抱えたまま過ごすことは、患者様にとってもご家族にとっても辛いことです。当院の訪問診療なら、定期的な健康管理といざという時の迅速な対応で、その不安を安心に変えることができます。
通院が難しいと感じたら、限界まで我慢せず、まずは私たちにお話しをお聞かせください。患者様にとって最善の療養環境を一緒に考えていきましょう。

