訪問診療対象の症状

排尿トラブル(頻尿・失禁・尿が出にくい)

「トイレが近くて外出するのが怖い」「夜中に何度もトイレに起きるのが辛い」「尿が漏れてしまうことがあり、誰にも相談できない」排尿に関するトラブルは、日常生活の質を大きく下げるだけでなく、ご本人様の尊厳にも関わる非常にデリケートな悩みです。

「年のせいだから仕方がない」と諦めてしまったり、通院がおっくうで受診を控えたりしていませんか?排尿トラブルは、適切な管理と処置を行うことで、症状を緩和し、穏やかな生活を取り戻すことが可能です。

当院では、通院が困難な方のために、ご自宅へ医師が伺う訪問診療を行っております。訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。まずは、お一人で抱え込まず、私たちにご相談ください。

訪問診療を検討すべき主な症状・状態

排尿トラブルは、単に「トイレが近い」というだけでなく、背景に様々な病気が隠れている場合や、加齢による身体機能の低下が原因となっている場合があります。

特に、足腰が弱ってトイレまでの移動が間に合わない、認知症によりトイレの場所が分からなくなる、あるいはがんや神経難病の影響で排尿機能そのものに障害が出ているケースなど、通院そのものが大きな負担となる場合は、訪問診療の検討が必要です。

排尿トラブルや、それに伴う通院困難な状況を引き起こす主な疾患・状態を以下にまとめました。

状態の分類具体的な症状・状態関連疾患
悪性腫瘍(がん)腫瘍による尿路の圧迫、術後の排尿障害、抗がん剤治療中の全身倦怠感、終末期における排尿ケア前立腺がん、婦人科系がん(子宮・卵巣)、腎・尿路系のがん、大腸がん、その他転移性腫瘍(緩和ケア・看取り含む)
神経・筋疾患排尿をコントロールする神経の障害(神経因性膀胱)、手足の麻痺によるトイレ移動の困難、衣服の着脱困難脳卒中後遺症(片麻痺など)、パーキンソン病/パーキンソン症候群、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など神経難病
認知症・精神疾患トイレの場所が分からない、尿意を認識できない(機能性尿失禁)、介護拒否、意欲低下によるセルフケア不足認知症(アルツハイマー型・レビー小体型など)、うつ病、統合失調症
慢性疾患・生活習慣病多尿、夜間頻尿、腎機能低下による排尿異常、動くと息が切れてトイレに行けない糖尿病(神経障害による膀胱麻痺)、慢性腎臓病、高血圧、慢性心不全、慢性呼吸不全/COPD
医療処置が必要な状態自力での排尿が不可能、尿路の閉塞、人工的な排泄経路の管理留置カテーテル(尿道カテーテル)の管理、膀胱瘻の管理、ストーマ(人工膀胱)のトラブルケア、中心静脈栄養管理
高齢による衰弱・その他加齢に伴う膀胱機能の低下(過活動膀胱)、前立腺肥大による尿閉、寝たきり状態起立性調節障害、誤嚥性肺炎をくり返す(全身状態の低下)、前立腺肥大症

訪問診療で対応可能な医療処置・管理

訪問診療では、病院で行うのと同様の医療処置や管理をご自宅で受けることができます。特に排尿トラブルに関しては、患者様の不快感を軽減し、尿路感染症などの合併症を防ぐための専門的な処置を行います。

  • 尿道留置カテーテルの管理・交換:自力で排尿が難しい方に挿入されているカテーテル(管)の定期的な交換や洗浄、トラブル時の対応を行います。
  • 膀胱瘻・腎瘻の管理:お腹や背中から膀胱・腎臓へ直接管を通している方の、カテーテル交換や皮膚トラブルの処置を行います。
  • ストーマ(人工膀胱)ケア:パウチの交換指導や、ストーマ周囲の皮膚のかぶれ(スキントラブル)に対する処置・投薬を行います。
  • 排尿コントロールの薬物療法:頻尿、尿失禁、前立腺肥大症などに対し、症状を緩和する内服薬の調整を行います。
  • 在宅輸液・栄養管理:尿路感染症などで食事が摂れない場合の点滴管理や、脱水予防の指導を行います。

自宅で実施可能な基本的な診療・検査

ご自宅では、以下のような検査や診療を定期的に行い、全身状態を把握します。

  • 尿検査: 尿の濁り、血尿、糖、蛋白などをチェックし、膀胱炎などの兆候を早期に発見します。
  • 血液検査: 腎機能の数値(クレアチニン、eGFRなど)や炎症反応、PSA(前立腺がんマーカー)などを測定します。
  • バイタルチェック・診察: 血圧、脈拍、体温の測定に加え、腹部の触診や浮腫(むくみ)の確認などを行い、心不全や腎不全の悪化を防ぎます。

在宅療養を始めるためのサポート体制

排尿トラブルを抱える患者様が安心してご自宅で過ごすためには、医療と介護の連携が不可欠です。当院では、地域の基幹病院と連携し、緊急時のバックアップ体制を整えているほか、訪問看護ステーションやケアマネジャーと密に連絡を取り合います。

また、介護保険サービスの「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師がケアマネジャーに医学的な視点から助言を行い、ケアプランに反映させることが可能です。例えば、ヘルパーによるオムツ交換のタイミング調整や、訪問入浴の導入、ポータブルトイレの設置など、医療と生活の両面から患者様を支える体制を構築します。

早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)

1. 尿路感染症や重症化の予防

排尿トラブルを放置すると、尿路感染症から腎盂腎炎、さらには敗血症といった命に関わる重篤な状態に進行するリスクがあります。定期的な訪問診療による尿検査やカテーテル管理を行うことで、感染の兆候を早期に発見し、入院を未然に防ぐことができます。

2. ご本人様の尊厳とQOL(生活の質)の向上

「トイレに間に合わない」という不安は外出を妨げ、活動量の低下や認知機能の低下を招きます。適切な排尿管理やオムツの選定、環境調整を行うことで、不快感や不安を取り除き、その人らしい尊厳ある生活を維持できるようサポートします。

3. ご家族・介護者の負担軽減

頻繁なトイレ介助や、夜間の失禁対応、カテーテル管理などは、ご家族にとって大きな精神的・身体的負担となります。医療のプロが定期的に訪問し、正しいケア方法の指導やトラブル対応を行うことで、介護する側の不安や負担を大幅に軽減できます。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。

  • 予約・受付: 電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
  • 診察・相談: 医師が症状について問診・診察を行います。
  • 今後の治療方針検討: 診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。

  • お問い合わせ(HPフォーム/電話): 現在の症状についてご相談ください。
  • 事前面談(情報共有・病状確認): 訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談(初回訪問)を行います。
  • 診療開始: 診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

排尿トラブルでお悩みなら、まずご相談ください

「排尿」は毎日繰り返されることだからこそ、トラブルが続くと心身ともに大きなストレスとなります。

しかし、適切な医療介入とケアがあれば、自宅で快適に過ごすことは十分に可能です。ご本人様が安心して過ごせるように、またご家族の負担が少しでも軽くなるように、私たちが全力でサポートいたします。どうすれば良いか分からない時こそ、まずは当院までお気軽にご相談ください。

外来WEB予約外来WEB予約
お問い合わせお問い合わせ
電話する電話する