「手足がしびれて思うように動かせない」「片麻痺があり、通院のたびに家族に介助してもらうのが申し訳ない」

こうしたお悩みを持つ患者様や、それを支えるご家族にとって、定期的な通院は身体的・精神的に大きな負担となります。移動中の転倒リスクや、待ち時間の疲労にお困りではありませんか？

当院では、住み慣れたご自宅で安心して療養生活を送っていただけるよう、訪問診療を行っております。訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。

訪問診療を検討すべき主な症状・状態

しびれや麻痺は、脳血管障害の後遺症や神経難病、糖尿病の合併症など、様々な原因で生じます。これらが進行すると、歩行障害や嚥下障害（飲み込みにくさ）を伴い、通院が極めて困難になるケースが少なくありません。

下記の表は、当院が対応している疾患リストに基づき、訪問診療の検討が推奨される状態と関連疾患をまとめたものです。

状態の分類	具体的な症状・状態	関連疾患
脳血管障害・後遺症	片側の手足が動かない（片麻痺）、呂律が回らない、飲み込みにくい（嚥下障害）、感覚が鈍い、歩行時のバランスが取れない。	脳卒中後遺症（片麻痺・嚥下障害など）
神経難病	手足のふるえ、筋肉のこわばり、徐々に動けなくなる、呼吸が苦しい、筋力低下による歩行困難。	パーキンソン病／パーキンソン症候群、ALSなど神経難病
がん・緩和ケア	がんの骨転移による麻痺や強い痛み、末期がんにおける全身倦怠感、通院が困難な状態での緩和ケア希望。	肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝臓・胆道がん、乳がん、前立腺がん、婦人科系がん、血液のがん・脳腫瘍など
生活習慣病・代謝疾患	手足の指先のしびれ（ジンジンする痛み）、感覚低下、足の壊疽リスク、透析導入前の保存期管理。	糖尿病（内服・インスリン管理）、高血圧・脂質異常症の在宅管理、慢性腎臓病（保存期の在宅管理）、慢性心不全
医療処置が必要な状態	自力での食事が困難、排泄管理が必要、寝たきりによる床ずれ（褥瘡）のリスクがある。	誤嚥性肺炎をくり返す、胃ろう・経管栄養の管理、中心静脈栄養（ポート／IVH）の管理、留置カテーテル・膀胱瘻の管理、ストーマ（人工肛門・人工膀胱）のトラブルケア
認知症・精神疾患	認知機能の低下により痛みを訴えられない、行動・心理症状（BPSD）により通院が困難。	認知症（行動・心理症状ふくむ）、うつ病、統合失調症

訪問診療で対応可能な医療処置・管理

しびれや麻痺がある患者様に対して、当院では症状の緩和と生活機能の維持を目的としたきめ細やかな管理を行います。特に、神経性の痛みに対する薬剤調整や、麻痺による拘縮・褥瘡（床ずれ）の予防管理に重点を置いています。

• 疼痛・しびれ管理: 神経障害性疼痛に対する内服薬の調整、湿布や外用薬の処方、がん性疼痛に対する医療用麻薬の管理。
• 栄養・排泄管理: 麻痺による嚥下障害がある場合の胃ろう・経管栄養管理、中心静脈栄養（IVH）、尿道留置カテーテルやストーマの管理。
• 褥瘡（床ずれ）処置: 寝たきりや動きの制限による皮膚トラブルの予防指導、発生した褥瘡の洗浄・処置。

自宅で実施可能な基本的な診療・検査

医師が定期的に訪問し、診察（血圧・脈拍・体温などのバイタルチェック、聴診、触診）を行います。また、必要に応じて血液検査、尿検査、心電図検査などを実施し、全身状態を把握します。お薬は院外処方箋を発行し、薬局薬剤師による配達・服薬指導（訪問薬剤管理指導）を利用することも可能です。

在宅療養を始めるためのサポート体制

在宅療養は、医師だけで支えるものではありません。地域の病院や訪問看護ステーション、ケアマネジャーと密に連携し、チームで患者様をサポートします。

日常的なケアが必要な場合は訪問看護師が訪問し、入浴やリハビリの介助を行います。また、**介護保険サービス（居宅療養管理指導）**を活用することで、医師や薬剤師がケアマネジャーに医学的な情報提供を行い、ケアプランに反映させることが可能です。医療と介護が一体となって情報共有を行うことで、安心して生活できる体制を整えます。

早めの相談・検討が重要な理由（訪問診療のメリット）

1. 脳梗塞などの再発予防と合併症の早期発見

しびれや麻痺の背景には、脳卒中や糖尿病などの基礎疾患が隠れていることが多くあります。定期的な訪問診療で血圧や血糖値を適切に管理することは、脳梗塞の再発や、心不全・誤嚥性肺炎といった合併症の予防に直結します。体調のわずかな変化を早期に発見し、入院が必要な重篤な状態になる前に対処できるのが大きなメリットです。

2. 苦痛の緩和によるQOL（生活の質）の向上

「しびれ」は見た目には分かりにくいですが、ご本人にとっては非常に辛い症状です。痛くて眠れない、不安で動けないといった状況はQOLを著しく低下させます。在宅医が定期的に訪問し、患者様の訴えに耳を傾けながら、鎮痛薬の微調整や生活環境のアドバイスを行うことで、身体的・精神的な苦痛を和らげ、その人らしい穏やかな生活を支えます。

3. 通院負担の解消と家族の安心

麻痺がある状態での通院は、ご本人の体力消耗だけでなく、付き添うご家族にとっても仕事の調整や身体的な介助など大きな負担となります。「また転んだらどうしよう」という不安を抱えながらの通院から解放されることは、ご家族にとっても大きなメリットです。緊急時には24時間365日の連絡体制で対応するため、夜間の急変時なども安心して過ごせます。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。

• 予約・受付: 電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
• 診察・相談: 医師が症状について問診・診察を行います。
• 今後の治療方針検討: 診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。

• お問い合わせ（HPフォーム/電話）: 現在の症状についてご相談ください。
• 事前面談（情報共有・病状確認）: 訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談（初回訪問）を行います。
• 診療開始: 診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

しびれ・麻痺でお悩みなら、まずご相談ください

しびれや麻痺は、放置すると日常生活の動作が制限され、徐々に体力が低下してしまう恐れがあります。「通院が大変になってきた」と感じた時が、訪問診療を検討するタイミングです。

患者様ご本人はもちろん、介護されるご家族の負担を軽減し、住み慣れた家で安心して過ごせるよう、私たちが全力でサポートいたします。些細なことでも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。