小児インフルエンザ
症状・疾患の概要
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。特に冬場に流行しやすく、風邪と似た症状を示しますが、インフルエンザはより重い症状を伴うことが多く、合併症を引き起こすリスクもあります。子供はインフルエンザにかかりやすく、高熱や激しい咳、全身の倦怠感などが特徴的です。特に乳幼児や免疫力が低下している子供は重症化しやすいため、予防接種や適切な対応が重要です。
主な症状
インフルエンザに感染した場合、次のような症状が突然現れることが多いです。
- 高熱:38~40℃の高熱が急に出ることがよくあります。
- 全身の倦怠感や筋肉痛:全身がだるく、特に筋肉や関節の痛みを訴えることがあります。
- 咳や喉の痛み:強い咳やのどの痛みが見られ、風邪に似た症状が現れます。
- 頭痛:強い頭痛を伴うことが多く、子供は不機嫌になることがあります。
- 鼻水や鼻づまり:鼻水や鼻づまりもよく見られる症状ですが、風邪ほど顕著ではないこともあります。
- 嘔吐や下痢:特に小児では、消化器症状(嘔吐、下痢)が現れることもあります。
これらの症状は突然始まり、特に発熱はインフルエンザの初期に顕著です。
診断と検査について
インフルエンザの診断は、症状や流行時期を考慮して行われますが、正確な診断を行うために次のような検査が行われることがあります。
- インフルエンザ迅速診断キット:鼻や喉の粘膜から採取した検体を用いて、ウイルスの存在を確認します。10~15分程度で結果がわかりますが、発症初期では陰性になることもあるため、医師の総合判断が必要です。
- 問診と身体診察:発熱の経過や症状の変化を問診し、身体診察を行います。
迅速検査でインフルエンザが陽性であれば、抗ウイルス薬の投与が開始されます。
治療法について
インフルエンザはウイルス感染による疾患であるため、特効薬としての抗ウイルス薬が治療に用いられます。インフルエンザは自然治癒することもありますが、抗ウイルス薬を早期に使用することで症状が軽減され、重症化を防ぐ効果があります。
抗ウイルス薬
- オセルタミビル(タミフル):飲み薬として使われる抗インフルエンザ薬です。発症後48時間以内に服用を開始することで、症状の軽減や治癒を早める効果が期待されます。
- ザナミビル(リレンザ):吸入薬で、オセルタミビルと同様に症状を軽減します。吸入によって気道に直接作用します。
- ラニナミビル(イナビル):1回の吸入で効果が期待できる抗ウイルス薬です。
- バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ):単回投与の経口薬で、ウイルスの増殖を抑えます。
対症療法
- 解熱鎮痛薬:高熱や頭痛、筋肉痛に対して、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使用します。特に子供にはアスピリンの使用は避けるべきです(ライ症候群のリスクがあるため)。
- 水分補給:発熱による脱水を防ぐため、こまめな水分補給が重要です。スポーツドリンクや経口補水液などを少しずつ与えましょう。
- 十分な休養:体をしっかり休め、免疫力を高めることが回復につながります。
家庭でできるケア
インフルエンザにかかった場合、家庭でのケアが重要です。適切なケアを行うことで、症状を和らげ、重症化を防ぐことができます。
- 安静に過ごす:子供が無理をしないように、布団でしっかりと休ませましょう。
- 水分をこまめに与える:発熱による脱水を防ぐために、経口補水液やスープなど、水分補給を忘れずに行います。
- 部屋の湿度を保つ:部屋の湿度を50~60%に保つことで、喉や鼻の乾燥を防ぎ、呼吸を楽にします。加湿器やぬれタオルを活用しましょう。
- 食事は無理せず軽めに:食欲がない場合、無理に食べさせる必要はありません。お粥やスープなど、消化に良い食事を少量ずつ与えましょう。
予防方法
インフルエンザの予防には、ワクチン接種や日常生活での感染対策が重要です。
- インフルエンザワクチン接種:ワクチンはインフルエンザの予防に非常に効果的です。特に流行が始まる前の10月から12月にかけて接種しておくと、重症化を防ぐ効果が期待できます。子供には年齢によって2回接種が推奨されることがあります。
- 手洗い・うがい:外出先から帰宅した際には、必ず石鹸で手を洗い、うがいをする習慣をつけましょう。
- マスクの着用:インフルエンザが流行している時期は、外出時や人混みではマスクを着用して予防します。
- 人混みを避ける:インフルエンザの流行期には、できるだけ人混みを避け、感染リスクを減らします。
- 健康的な生活習慣:十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、免疫力を高めることが予防に役立ちます。
注意が必要な合併症や重篤な兆候
インフルエンザは通常は数日で回復しますが、合併症や重篤な症状が現れることもあるため、次の兆候には注意が必要です。
- 呼吸困難:息苦しさやゼーゼーとした呼吸が続く場合は、早急に医師の診察を受けましょう。
- 高熱が続く:解熱剤を使用しても、3日以上高熱が続く場合は、肺炎やインフルエンザ脳症の可能性があるため、医療機関での受診が必要です。
- けいれん:熱性けいれんを起こすことがあり、特に幼児では注意が必要です。けいれんが見られた場合、すぐに医師に相談してください。
- 意識の低下:ぐったりして反応が鈍い、意識がぼんやりしている場合は、重症の兆候です。
よくある質問(FAQ)
Q1. インフルエンザワクチンを接種してもインフルエンザにかかることはありますか?
A. ワクチン接種をしてもインフルエンザにかかることはありますが、ワクチンを接種することで重症化を防ぎ、回復を早める効果があります。
Q2. 学校や保育園にはいつから行けますか?
A. 解熱後、少なくとも2日間(48時間)が経過し、かつ発症から5日以上が経過した場合、医師の指示のもと登校・登園が可能です。
Q3. インフルエンザと風邪の違いは何ですか?
A. インフルエンザは突然の高熱や全身の痛み、強い倦怠感が特徴で、風邪よりも症状が重くなる傾向があります。また、インフルエンザは合併症のリスクが高いため、特に小児や高齢者は注意が必要です。