内科
胃腸炎
症状・疾患の概要
胃腸炎は、胃や腸の粘膜に炎症が生じ、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こす疾患です。ウイルスや細菌、寄生虫、食中毒が主な原因で、感染性胃腸炎や非感染性のものがあります。特に冬季にノロウイルスやロタウイルスによる感染が多く見られます。通常、数日で症状は改善しますが、重症化すると脱水症状を引き起こすことがあります。
症状について
胃腸炎の主な症状は次の通りです。
- 吐き気と嘔吐:突然の吐き気や嘔吐が現れることが多いです。
- 腹痛:下腹部や胃の痛み、けいれんが見られます。
- 下痢:水様性の下痢が頻繁に起こります。場合によっては血便が出ることもあります。
- 発熱:軽度から中度の発熱が伴うことがあり、特にウイルス性胃腸炎ではよく見られます。
- 倦怠感:全身のだるさや食欲不振が続きます。
症状は通常1~3日間続きますが、重症の場合や体力が低下している人では長引くことがあります。
診断と検査について
胃腸炎の診断は、症状と病歴から行われます。一般的には問診で原因を特定しますが、次の検査を行うこともあります。
- 血液検査:脱水や電解質の異常を確認するために血液検査を行います。感染が広がっているかどうかを確認することもあります。
診断により、感染性か非感染性かを判断し、それに応じた治療が行われます。
治療法について
胃腸炎の治療は、原因に応じた対症療法が中心となります。ウイルス性胃腸炎の場合、特効薬はないため、体がウイルスを排除するのを待ちながら症状を緩和します。
水分補給
- 経口補水液(ORS):下痢や嘔吐によって失われた水分と電解質を補うため、ORSが推奨されます。水分補給が困難な場合には、点滴が必要なこともあります。
薬物療法
- 鎮痛薬・解熱薬:発熱や腹痛に対して、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬が使用されます。非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)は、胃腸の刺激を避けるため、使用に注意が必要です。
- 制吐薬:吐き気がひどい場合には、制吐薬を使用することがあります。
- 整腸剤:腸内環境を整えるため、乳酸菌製剤や整腸剤が使用されることもあります。
- 抗生物質:細菌性の胃腸炎が確認された場合、抗生物質を使用しますが、ウイルス性の場合には効果がありません。
食事療法
- 消化に良い食事:症状が落ち着いたら、無理なく消化に良い食事(おかゆやスープ)を少しずつ摂り始めることが重要です。脂っこい食事や刺激の強い食べ物は避けましょう。
予防について
胃腸炎の予防には、感染経路を遮断することが最も効果的です。以下の対策を実践することで、発症リスクを減らすことができます。
- 手洗いの徹底:特に食事前やトイレ後は、石鹸でしっかり手を洗いましょう。ウイルスは手を介して感染することが多いため、手指衛生が重要です。
- 飲食物の衛生管理:生水や生ものの摂取を避け、調理した食品は清潔な環境で保管します。食材は十分に加熱してから摂取することが推奨されます。
- ワクチン接種:ロタウイルスに対しては、予防接種が有効です。特に乳幼児への接種が推奨されています。
- 家族や周囲への感染防止:感染者との接触を避けることが大切です。家庭内で感染者が出た場合、タオルや食器を分けるなどの対策を講じましょう。
よくある質問について
Q1. 胃腸炎は自然に治りますか?
A. 多くの場合、ウイルス性胃腸炎は数日で自然に治ります。十分な休息と水分補給を行い、無理をせず過ごすことが大切です。
Q2. いつ病院を受診すべきですか?
A. 強い腹痛や高熱、頻繁な嘔吐や下痢が続く場合、または脱水症状(口渇、めまい、尿量の減少など)が見られた場合は、速やかに医師の診察を受けてください。
Q3. 胃腸炎の時に飲んではいけない飲み物はありますか?
A. カフェインやアルコール、炭酸飲料は胃腸を刺激し、症状を悪化させる可能性があるため、避けることが推奨されます。水分補給には、経口補水液や薄めたスポーツドリンクが適しています。