内科
痛風
症状・疾患の概要
痛風は、血液中の尿酸が過剰に増え、結晶化して関節に沈着することで、激しい痛みや腫れを引き起こす疾患です。最も一般的に影響を受けるのは足の親指の関節ですが、その他の関節(膝、足首、手など)にも症状が現れることがあります。痛風の発作は突然に起こり、数日から1週間続くことが多いです。原因としては、遺伝的な要因や生活習慣(アルコール、プリン体の多い食事など)が関係しています。
症状について
痛風の主な症状は、以下のような急性発作が挙げられます。
- 激しい関節痛:通常、足の親指に突然の激しい痛みが起こり、夜間に発症することが多いです。
- 関節の腫れ・熱感:患部が腫れ、触ると熱を帯びていることがあります。皮膚が赤く変色することもあります。
- 関節の可動域制限:痛みや腫れにより、関節の動きが制限されます。
- 発作の周期性:痛風発作は突然始まり、数日から1週間で自然に治まることが多いですが、繰り返し発作が起こることがあります。
慢性的な痛風の場合、痛風結節(関節や耳などに尿酸の結晶が沈着した塊)が形成されることもあります。
診断と検査について
当院では、痛風は、以下の検査を用いて確定されます。
- 血液検査:血中の尿酸値を測定します。痛風発作中は尿酸値が一時的に正常範囲になることがあるため、平常時に測定することが重要です。
尿酸値が高いことは痛風のリスクを示しますが、すべての高尿酸血症の人が痛風発作を起こすわけではありません。
治療法について
痛風の治療は、急性期の発作の鎮静と、長期的な尿酸値の管理を目的としています。
急性期の治療
- 非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs):痛みと炎症を抑えるために使用されます。
- コルヒチン:急性発作の治療や予防に効果的な薬です。発作の初期に服用することで、症状を軽減します。
- ステロイド:NSAIDsやコルヒチンが使用できない場合や、効果が不十分な場合に使用されます。
長期的な治療
- 尿酸値を下げる薬:アロプリノールやフェブキソスタットなど、尿酸の生成を抑える薬を用いて、血中尿酸値を下げます。
- 尿酸排泄薬:尿酸を体外に排泄する薬(ベンズブロマロンなど)が使用されることもあります。
長期的な治療の目的は、尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することで、再発を防ぎ、合併症を予防することです。
予防について
痛風の予防には、生活習慣の改善が重要です。以下のような対策を心がけることで、発作を防ぎやすくなります。
- 食事の改善:プリン体を多く含む食品(内臓、魚卵、エビ、ビールなど)を控えましょう。野菜や果物、全粒穀物など、尿酸の生成を促進しない食品を積極的に摂取します。
- アルコールの制限:特にビールや日本酒などのアルコールは尿酸値を上昇させるため、過度の摂取は避けるべきです。
- 十分な水分補給:尿酸を排出しやすくするため、1日2リットル以上の水分を摂取することが推奨されます。
- 肥満予防:適正体重を維持することで、尿酸値のコントロールに役立ちます。
- 適度な運動:無理のない範囲での運動が、尿酸値の管理に効果的です。ただし、激しい運動は尿酸を増加させることがあるため、注意が必要です。
よくある質問について
Q1. 痛風発作中にできるだけ避けるべきことは?
A. 痛風発作中は安静が最も重要です。激しい運動やアルコール摂取は症状を悪化させる可能性があるため、避けましょう。
Q2. 痛風発作が治まった後、すぐに薬を中止しても良いですか?
A. 発作が治まった後でも、尿酸値をコントロールするために薬物療法を継続することが重要です。治療を中断すると、再発のリスクが高まります。
Q3. 痛風は遺伝しますか?
A. 痛風には遺伝的要因が関与することがあります。家族に痛風の人がいる場合、発症リスクが高くなるため、予防に努めることが大切です。